その自信たっぷりの皆川会長に、在校生の一人がどこから出したか、傘を投げつける。


しかし会長は、川が流れるように躱すと、それをキャッチし、投げた奴に二倍返しで投げ付けた。


握る方の丸い部分がその不良にスコーンと当たると、大人達がより一層ざわつく。


《そいつみたいになりたくないなら言うことを聞けばいい。それが不満ならかかってこい。俺がお前等の顔、殴ってイケメンに変えてやるよ》


クラクラする程の低音の美声で言った皆川壮平は、その皇帝のオーラを十分に振り撒きステージから去って行った。


「やば……カッコイイじゃん皆川壮平生徒会長!」


馬鹿な春風は、完全に皆川壮平に憧れた模様。


周りにはあのオーラに圧倒された者、無謀にも闘争心を燃やす者と様々。


私はそのどちらでもなく、絶望していた。どうやら私は、最悪な学校を選んでしまったらしい。


ああ神様、毒吐きまくって人をぶん殴りまくったことを悔い改めるから、だからお願い。時間を戻してくれ。


これから始まる学校生活に、完全に萎えきった私は肩を落とし、いるのか分からない神様に願った。