「ほい春風!ワンツーワンツー!」


ゴールデンウイーク、地獄のトレーニングを乗り越えて、春風は何故かうちのジムに通ってる。


「動きに無駄が多い!」


プロを目指してるわけじゃない春風の相手は必然的に私。どうやらこれも皆川会長の差し金らしい。


費用もあいつ持ちだから、流石金持ちの坊ちゃんのすることだよなって感じ。


しかし春風、ゴールデンウイークのあれから、細身の体が少し鍛えられてカッコイイんじゃね?腕とかちょっと筋肉ついちゃって、汗でつやつやしててさ、男前じゃん。


「ひーちゃーん!もうギブー!」


しかし、性格はなよっちい普通の男子のままだけどさ。


「いやしっかし、どういう風の吹き回しだ?春風が強くなろうなんて」


二人で登校中、私は見上げなきゃ顔が分からないほどデカイ春風を見上げて言う。


だってそうだろ?昔からあんなにうまいこと私に面倒事を押し付けてた春風が……考えれば考えるほど今の状況、有り得ない。


「うーん、男の意地かなー?」


「分からん。男って、分からん」


だいたい、鍛えたところでそれを発揮する時が来るのか?


坊ちゃん三人も強いし、益々意味不明な生徒会だな。私達五人は。