あたしは先輩と噴水から抜け出した。
「先輩ーどこ行くんですか?」
よし!普通通りに話せてる。
緊張してたら好きだってことバレちゃうもんね。
「決まってない」
「え!?」
「さえが決めていいよ」
「ん―・・・」
どうしよう。
ん―・・・
あたしは悩みに悩んだ末に、
「動物園!」
そんな答えを出した。
「了解」
先輩はあたしの腕を掴んで歩き始めた。
・・恥ずかしいな。
だって先輩があたしの腕を掴む力があまりにも強すぎてドキドキする。
このままずっと一緒に居れたらいいのにな。

「着いたぞー」
先輩が指をさした先には-・・・
「わー!」
大きな動物園。
あたしは久しぶりに来た動物園に興味深々。
「先輩!先輩!パンダちょーかわいいですね!」
「そうだね」
「わー!ライオンかわいぃ~」
「だね」
「先輩あっちに-・・・」
「ははははっ!」
先輩がお腹を抱えて笑い出した。
「先輩!?」
「あーごめんごめん。さえって動物園初めて?」
「あっ!いやすごい久しぶりで」
「そうなん?他から見ると幼稚園児だよ」
先輩はそう意地悪を言ってくる。
「ひどいーー!」
「ごめんって」
-あたし普通に笑えてる。
てゆーかすごい楽しい!!
あたし、決めた。
今日大好きな先輩に告白する。
こんなに楽しいのに・・・先輩、後輩の関係で終わりたくないから。

「智先輩」
「ん?」
「あたし・・・」
「どうした?具合悪い?」
「いや!全然元気です!」
「よかった」
「えーっと・・あの」
「さえ」
「はいっ!」
告白しようと思ってたら智先輩がこっちを見た。
まっすぐな瞳で。

「俺さえのこと好きなんだけど」

あたしは一番聞きたかった言葉を言われ涙が出そうになった。
「さえ」
「はい」
「俺と付き合って?」
「智先輩・・・」
「ん?」
「あたしも智先輩のことが大好きです!よろしくお願いします!」
あたしは幸せ者なのかもしれない。
こんなにも嬉しいことなんて絶対にないよ。