今、翔子に会わせてもなにもかわらない。
「あの・・太陽先輩。なんで彼女がいるのに女の人と会ってたんですか?」
あたしはいきなり聞いた。
太陽先輩は言いにくそうにしてる。
「言ってくれないとわかりません」
「んと、会ってたのには理由があるんじゃないんですか?」
栞も聞く。
なのに、すぐ答えをださない。
「翔子が―・・・」
「それは、」
あたしが「泣いてるんですよ!」と言う前に口を開いた。
「俺はただ呼ばれたから女と会ってた。でも、翔子は勘違いした」
「だったらなんで言わないんですか!?」
「・・・言っても無駄だと思った」
「なんでですか」
「・・・言い訳にしか聞こえないから・・・」
「言い訳にしか聞こえなくてもちゃんと言わなきゃいけないですよ!先輩は翔子が好きなんですか!?」
あたしは叫びに近い声を出した。
先輩の気持ちを知りたい。
「俺は翔子のことす―・・・」
「だったら本人に言ってあげてください」
「・・でも」
「今、翔子が一番傍に居てほしい人は先輩だけです」
「わかった・・」
「玄関にいるので」
「・・・・」
先輩は玄関に向かった。
あたしと栞もそのあとをついていく。
先輩は翔子を見つけて立ち止った。
「先輩・・?」
「俺のコトであんなに泣いてるんだったら会わない方がいい・・・」
「っ!行ってあげてください!」
あたしは先輩を押した。
先輩は翔子の目の前に立った。
頑張れ先輩!
あたしは心の中で強く叫んだ。
「翔子聞いてくれるか・・?」
「うっ・・・」
「言い訳にしか聞こえないかもしれないけど・・・」
「んっ・・ふっ・・・」
翔子は必死に我慢してる。
泣くのを我慢してる。
だけど、目からは涙が一粒一粒流れてる。
「・・・違うクラスの女子に呼び出されたんだ。」
「・・・・」
「『来て』って言われたからついて行ったんだ。そしたら『あたしと付き合わない?』って言ってきて・・・」
「・・・や・・・だ・・・」
翔子は小さく呟いた。