紫色に染まった
小さな小さな
花びらを拾い集めて
繋げたら…。

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彼は窓の外を
見つめながら
頬杖をついていた。

太陽の光が反射して
腕時計が光る。
長く細い指先には
紫色した一輪の花。

その姿はまるで
花のように華麗で、
しかしどこか
悲しげな雰囲気を
漂わせていた。


紫苑…か。


ふいに目頭が
熱くなり、私は
そっと瞳を閉じて
吐息を零す。

[君を忘れず]

あの人にも
忘れられない過去が
あるのだろうか。


気がつけば彼の
姿は消えていて、
そこには一輪の花が
残っていた。

…素敵な人だった。

私は今にも折れて
しまいそうな
その花を手にとり
持っていた参考書に
丁寧に挟んだ。

花びらが一枚、
ひらひらと床に
舞い落ちた。

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希望の光に
目を輝かせ、
花びら舞い散る
この季節

夢みる恋は
儚く苦く

平成の花、
恋せよ乙女…


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プロローグ<終>