―司視点―


・・・最近、緋李が倒れた時に お姫様抱っこして保健室に運んで行った靖って奴と緋李が一緒にいるのを良く見かける様になった。
緋李・・・・。
お前、俺が好きだったんじゃねぇのかよ。
「先輩?どうかされました?」
恵璃華が心配そうな目でこちらを見ている。
「いや・・・何でもない。」
そうだ。
今、俺には恵璃華が居る。
なのに・・・
なのに どうして。
あの時 泣いてた緋李の顔が離れないんだろう?
やっぱり 緋李の事が好きなのかな?
・・・いやいや。
恵璃華が前世で約束したエリカなんだから、そんな訳・・・。
じゃ、どうして こんなに心がモヤモヤするんだろう?
「先輩、楽しくなさそう・・・。」
恵璃華が横で俺に呼びかける。
そんなつもりはないのだが。
でも、そうかもしれない緋李の事ばっか考えて恵璃華に失礼な態度を取っているだろう。
「恵璃華・・・まだ自分が天使だった事思い出せないのか?」
俺は恵璃華に聞く。
もし記憶が戻って本物のエリカって分かれば引きずらなくてすむじゃないか。
「っていうか、先輩は前世とか信じるタイプなんですね。」
「恵璃華は信じないのか?」
俺は悪魔だった時の記憶を思い出せたんだ。
信じるも信じないも事実なんだ。
信じるしかない。