そしてデート当日。
私が10分前に用意が終わり 外に出ると靖くんは私家の玄関の外に居た。
「えっ!?」
私はビックリした。
だって10分前に玄関に居るんだもん。
「おはよう。」
私に気づくと靖くんは爽やかな笑顔を向けた。

ドキッ――

微かな音が心の奥で鳴る。
「・・インターホン押してくれたら良かったのに。」
10分前で靖くんはすでに居た。
つまり もっと前から待ってるんだ。
「や、俺が待ち切れなくて来たんやし。」
決して 気は使わせないようにする。
そんな靖くんの心遣い。
いつも嬉しい。
ありがとう。
「柊だって早いじゃん。」
靖くんは まだ私の事を名字で呼ぶ。
多分 私に対して気を使ってくれてるんだ。
だから・・・
「わ、私だって一応楽しみだから早く出たんだよ?」
私も それに応えたい!


「そ、そっか・・・」
靖くんは手で口元を覆った。
え、靖くん・・・?
「なんか、照れ臭いな。ありがとうな。」
少し照れた靖くんは 私に笑顔を向けてそう言った。

ドキッ

まただ。
また鳴った。
心の奥で。
あの音が。