私が夢から覚めた時 私は靖くんの腕の中だった。
とりあえず 謝ってみたけど
怒ってる・・・よね?
靖くんは 無表情というか、表情はあるんだけど理解しにくい。
「その、本当にごめんね?」
「構わない。俺が勝手にした事だ。」
靖くん・・・いい人だなぁ。
「なぁ。」
急に靖くんが真剣な瞳で私をみつめた。
「な、なにっ?」
思わず ドキッ ってしてしまうくらいで私の顔は火照りはじめる。
「・・・俺、柊の事好きなんだ。」
「え?」
どうしよう メルヘンとか嫌いだけど 嬉しいよ。
人に好かれるとなんか嬉しいよ。
でも・・・
「私、司が好きなの。」
「知ってる。」
靖くんの返事は早くてビックリした。
「ど、どーしてッ」
「柊がずっと司ってヤツを見てた様に俺もずっと柊の事見てたんだよ。」
靖くん・・・
私気づかなかった。
こんな私でも 好きになってくれる人がいるんだ。
「でも、私、司が好ー・・・」
そう言いかけた時だった。
ダン!
と私の後ろの壁に手をつき靖くんが言った。
「柊がソイツの事を好きでも構わねぇ。俺はお前が好きなんだ。試してくれてもいい。」
「た、試す?」
「あぁ、お試し期間ってヤツだな。とりあえず付き合ってみる、ってな。」
どうしてそこまで私の事を好きでいてくれるのかは分からないけど 私は靖くんの気持ちに答えたいと思った。