エリカは悪魔をじっと見つめます。
悪魔の彼が笑ってくれた事でエリカの心が少し落ち着いたのです。
「ぉ名前・・・・。」
「は?」
「な、名前・・・何ですか?」
怖がりながらも勇気を出してエリカは聞きます。
「俺か?アン・タクスだ。」
「あん・・・・?」
エリカは名前を繰り返します。
「可愛い・・・名前。」
ニッコリと呟くとアンは顔を赤く染めました。
「ぅ、う、うっせぇな!!!!そういうお前の名前はなんだよ?」
アンは照れ隠しの為かエリカの名前を聞きました。
「私は・・・エリカ・ベファール。」
「エリカ、か。エリカはここに何しに来たんだ?天使が悪魔界に来るってよっぽどだろ?」
エリカは思い出しました。
母の薬草を取りに来た事を。
悪魔のアンに事情を説明します。
すると彼はニッと笑ってエリカの手を握りました。
「じゃあ俺が案内してやる!」
アンの言葉にエリカの顔が明るくなります。
「ぁ、ぁりがとっ・・・」
小さな声のエリカですが アンにはエリカの言葉がちゃんと伝わるのでした。
「いぃって。きにすんな?」
悪魔のアンは
悪魔じゃないみたいに。
天使みたいに優しい男の子でした。
エリカは すっかりアンを気に入りました。
「アンっ・・・好きっ・・・ありがとう!」
エリカがこれまでに出た事がないくらいの大きさでエリカは“ありがとう”が言えたのです。
「なッ!ナッ!?エリカが俺を好っ・・・・?」
アンの顔はみるみる内に赤く染まり
口をぱくぱくさせました。