携帯を閉じると「貸して」と柊也に携帯を取られた。

自分の携帯と向かい合わせて…何やってるんだろう。


「ほら」

「何やったの?」

「俺のメアドと番号……入れた」


そういえば。

会って半年も経つのに知らなかった。

まぁ、知る必要が柊也になかったんだろうけど。

なぜ唐突に。


「なんか最近、柊也…変」

「は?」

「え。いや…変っていうか……なんか…優しいって感じ?」

「…気のせいだろ」


気のせい、ね。

確かに「バカ」とかなんとか言ってくるし。

私、そこまでバカじゃない…はず。


「何かあったら俺に連絡しろ。いいな?」

「う、うん」

「………終わりですか?」

「「え?」」


正面を向くと、買い物袋を持った凪さんがいた。

帰ってくるの早っ…!

もう少し遠くにいると思ってたけど、結構近くにいたのかな。

っていうか「終わりですか?」って質問の意味がわからない。


「…俺は帰る。じゃあな」

「うん、またね」

「お気をつけて」


柊也って凪さんが苦手とか言ってたっけ。

少し毒舌なところはあるけど、基本いい人なんだけどなぁ。


「静音様、中に入りましょうか」

「あ、うん!」


中に入ったらとりあえず鉢巻きを取りに行かなきゃ。