花壇の場所まで行くと、水やりは終わったのか柊也だけが座っていた。

私が来たことに気づくと「遅い。もう終わった」と言い立ち上がる。


「ごめん…」

「別に謝れとは言ってない。……もう18時になるから帰るな」


部室に戻る途中。

まず茜に電話。


「茜。今日は一緒に帰れる?」

『ごめん、無理。今から先輩達と試合するんだ。下校時刻までするから遅くなるし…』

「そっか。頑張ってね」

『おうよっ!先輩達に勝って今度、焼肉奢ってもらう!』

「あはは、それじゃぁ本気だね。茜」

『うん!あ、そろそろ始まるから切るな。じゃ』


茜は無理、か。

次は鈴菜。


「鈴菜、一緒に帰れる?」

『静ちゃんごめんねっ!もう家に帰っちゃった。今日は部活お休みだったから』

「あ、そっか」

『でもなんだか心配だし…迎えに……』

「いやいやいや!大丈夫だよ」


また学校に戻ってくるなんて鈴菜に迷惑がかかる。

でも、と言ってくる鈴菜。

もう気持ちだけでありがたい。

こんなに心配してくれて。


「大丈夫。本当」

『うぅ…まぁ静ちゃんが大丈夫って言うなら……。あ、そうだ。近くに柊也くんいる?』

「柊也?いるよ」

『じゃあ、柊也くんに代わってくれる?』


柊也に携帯を渡す。

しばらく、内容はわからないけど電話を切り、私に返した。


「俺がお前を送ることになった」

「え。柊也が?」


家…真逆。

めちゃくちゃ遠回りになるよ。

鈴菜、柊也の機嫌が凄く悪いと思います。


「早く鞄。帰るぞ」

「あ、うん」


部室から鞄を持ち、柊也と帰ることになった。