連れてこられた場所は空教室の多い場の内の一つの教室。


「あいつらはいねぇのか」


あいつらっていうのは多分、ちゆちゃん達のことかな。

律くんは椅子を此方へと持ってくると、一度座り「よし」と私をその椅子に座らせた。


「今から俺の話す内容はつっこみどころ満載なんですけど、全て事実なので。聞いてください」

「う、うん」


どうやら私を含め、律くんの部活のメンバーには今、不幸なことがたくさん起こるらしい。

はんば呪い状態。

まずここが第一のツッコミどころなんだけど…我慢。

で、そのはんば呪いを解くには、この前依頼された通り、月桜の生徒100人を手助けしなくてはいけない。

第二のつっこみどころ。

そして受け取っていた鉢巻き。

あれは不幸になるのを抑えるグッズなんだとか。

だからずっと肌に離さず持っていなくてはいけない。

第三のつっこみどころ。

つまり、今日一日中、私が不幸だったわけはこういうことだ。


「この鉢巻き、汚れもしないし、濡れたりもしませんから。できるだけ風呂のときも寝るときも身に付けておいてください」


普通は信じにくい話なんだけど、実際もう体験しちゃってるわけだし…


「わかった」

「すみません。本当は全部、詳しく話したいところなんですけど…」

「ううん。無理に話すことないよ、大丈夫」

「何か困ったことがあれば俺に言ってください。他は頼りない奴らなんで」


頼りないって…まぁ、ちゆちゃんと陽介くんは……

あ。

そういえば柊也1人で依頼をしているんだった。

早く戻らないと。


「私、用事があるから」

「引っ張ってきてすみません。ここが安全だったので」

「ううん。色々説明してくれてありがとう!」

「あ。帰りは誰かと帰ってくださいね。何が起こるかわからないので」

「うん」


茜と鈴菜がいると思うし。

2人が無理だったら悪いけど、凪さんに来てもらおう。