今日、体育があって良かった。

うん。これだけで幸せな気分。

まぁ放課後だし、誰も来ないよね。

とりあえず早く着替えて行かないと…。

制服の上着を脱いだ瞬間だった。

ガラッと開くドア。


「ここには……」

「あ、あああ、あっ……!!」

「…すみません」


ガシャンとドアは閉められた。

見られた…しかも律くんだったよね……。

急いでジャージに着替え、教室を出ると、ドアの前に律くんがいた。

……なんか気まずい。

っていうか、恥ずかしい!!


「…え、えっと……」

「大丈夫です。記憶から消しました。何も見てません」

「う…うん……そ、それでこの教室に用があったの?」

「いえ。浅井さんに。部室にいなかったから教室かなって」

「そっか」


タイミング悪すぎだよ。

律くんは私の手首に目線を向けると、焦った表情に変わった。


「浅井さん、鉢巻きは!?」

「えっ…あぁ、家に忘れてきてる……」

「と、とりあえず、ついて来てください!」

「へっ!?」


どこに行くのか、どうしてこんなに慌てているのかはわからないまま、律くんに引っ張られた。