「どう?ビックリした?」


答えられなかった。

ただ視界によーたくんしか映らなくて。


目を離してしまったら、

また何ヶ月も会えなくなるんじゃないか。

そんな恐怖のせいで、私たちは見つめ合ったまま、お互いに何も言わなかった。



「よーた。

そんなところ立ってると邪魔だろ。

こっち来いよ」


翔馬さんにそう言われよーたくんがこちらに近づいてくる。

1歩距離が詰まる度、ドキドキが増して。


やっと…会えた。

会いたくて会いたくて仕方なかった…大好きな人に。



「どういうことだよ、翔馬」


「いやあ、偶然奏ちゃんに再会したからさ。

俺が恋のキューピット役やってやろうと思って」


ニヤッと笑う翔馬さん。

そして鞄を持って立ち上がると


「しっかりな」


そう言ってよーたくんのお尻をバシッと叩くと手を振って店を出て行ってしまった。



「…座ったら?」

立ったままのよーたくんにそう言ってはみたものの。

緊張のせいで声が震えた。