仕事が終わるとすっかり日は暮れていて。
体育館に顔を出すと碧と類しか残っていなかった。
俺は黙って体育館の入口に腕組みをして立っていた。
類はドリブルをしてシュートを決める。
碧はただ黙ってその姿を見つめていて。
まだコイツらが高校生だったときは
ここに奏もいて。
碧と楽しげにいつも話していた。
そんな姿を思い出して懐かしい気分になる。
「…あ、よーたくん。
いるなら声かけてよ。
っていうか、何ニヤついてんの?
気持ち悪い」
「気持ち悪い言うな、類」
手を挙げて類からボールをもらう。
そしてドリブルをしながら類の横を駆け抜けて、レイアップシュート。
俺の放ったボールはスパッという音と共にネットをすり抜け見事にきまる。
「腕はなまってないみたいだね」
「当たり前だっつーの」
笑いながら類にボールを投げ返す。
「懐かしいな、ホント」
「え?急に何?」
「うん、ちょっと思っただけ」
「…ヘンなの」
そう、ヘンなんだ。
なんでか分からないけど今、
すっげえ胸騒ぎがしてるから。