いつの間にか涙は止まっていた。
それでも私は、まだ固まっていた。


「…。」
「おーい、ありなー?」

ハッ!
やっと頭の中で整理が出来た。

浅羽先輩が告白されて
自分の気持ちに気づいたんだ。

誰かに取られちゃうかもって
すごくすごく不安なんだ。


「浅羽先輩、断ってたよ?」

しばらくの沈黙の後、
陽菜が心配そうに私を見て言った。

「ほんとに?良かった~
陽菜…。私、浅羽先輩が好き。」

私がそう言うと
陽菜はニヤリと笑いながら
「やっと認めたね!」と言った。

そのとき、
「ありなちゃーん!
今日もマンガについて語ろーう!」

「あ、浅羽先輩!」

浅羽先輩がいつもの笑顔で
走ってきた。

私は、自覚したからなのか
顔が熱くなった。


その様子を見ていた陽菜は
ニヤニヤしながら
じゃあねっと言って去っていった。

そして彼女が残した言葉は…
『告られてたって言うのは嘘だよ!』

この状況の私には、衝撃的すぎた。

また固まっていると陽菜の
「応援するからね~!」
と言う大声が聞こえてきた。


すると、
「ありなちゃん、どうしたの?
顔が真っ赤なんだけど…」

浅羽先輩は不思議そうに
私をじっと見た。

ドキッ―
「あ、いえ、なにもないです。」



今日から始まった自覚した恋。
この恋に後悔なんてしない。