「えーと、名前は仲原努言います。京都から来ました。趣味は…そやなぁ、カラオケです。生まれてずっと関西やったんで、静岡に住むっちゅーか、静岡に来たのも初めてです。どーかよろしくお願いします」

そう言って俺は頭を下げた。

するとクラス中がゴニョゴニョざわついた。

「わぁ、関西弁だ」

「やっぱり芸人以外もあんな風にしゃべるんだー」

「なんか、関西弁って、頭悪そうだよね」

おいおい、聞こえてるっての!

「そんじゃ仲原、席は一番後ろの窓際だが、いいか?」

先生はそこを指差し、言った。

別に目は悪くない。

「あ、はい」

「じゃあ、あそこに座ってくれ」

「はい」

俺は返事し、一番後ろの窓際に着席した。

「えーと、吉倉」

先生に吉倉と呼ばれた女の子…っていうか、俺の隣りの子がハイと返事をする。

「仲原に色々教えてやってくれ」

「はい」

すると前の方で手を上げた男が大きな声で言った。

「浜ちゃん!俺も女の子から色々教えてもらいたいです!!」

クラス中がドッと笑う。

体育会系の先生…あだ名は浜ちゃんなんだろうな。
浜ちゃんはニカッと笑って、手を上げた生徒に言った。

「なんなら俺が可愛がってやろうか?」

「ひぇ〜、それはマジ勘弁ッ!」

クラス中がさらにドッと笑う。

あ〜あ、賑やかなクラスだね…。

「それじゃ、ホームルームおしまい。あ、吉倉。今日一日、仲原に教科書見せてやれ」

浜ちゃんはそう言って教室を出て行った。

浜ちゃんがいなくなると、俺はクラスメートに囲まれた。

「関西弁チョーいいね!」

どこが?

「私、先週USJに行ったよ!」

だから?
京都関係ねーし。

「俺に関西弁教えてくれよ」

ウザイなぁ…。

「ワイに関西弁を教えてくれたってぇーねん」

馬鹿にしたようなヘタクソな関西弁。

マジウザッ!

「違うよ、ワイに関西弁教えてーやー、でしょ?」

そうそう…。
って、訂正もいらん!