「あんたが、仲原君かい?」

背の高い方の女の子が言った。

…ってかこの人、スカートの丈が長ッ!
爪先少し上くらいまであるじゃん!

なんか、太古の時代にいた、スケバンを想像してしまった。

「はぁ、そうやけど?」

「あんたね、陽菜(はな)に告ったでしょ?」

「え?ハ・ナ?」

俺は頭の悪い子みたいに、聞いた言葉を棒読みした。

「吉倉陽菜だよ!告ったでしょ?」

そう言えば俺、吉倉さんの名前も知らなかったなぁ。

ハナって言うんだ。

…って、げげッ!もう噂が広まってんじゃん!

あぁ、終わったな、俺の高校生活…。

「今朝手紙を下駄箱ん中に入れたわ」

恐る恐る肯定する。

「あのね、私ら陽菜と一緒に軽音やってるんだけど、陽菜があんたのせいで鬱(うつ)になっちゃったのよ」

この人、目つきだけじゃなくて、話し方もキツいなぁ。

「え、鬱?マジで!?」

「ま、鬱かどうかは分からないけど、とにかく登校拒否ってるの!あんたのせいだからねッ!!それで私ら、ドラムがいなくなって部活出来ないんだけど、あんた責任取ってよ!」

そう言って、キツめの女の子は、ポケットから入部届けを取り出した。

ガーン、最悪だ。
まだ普通に振られる方が良かった。

バイトしようとしてたのに、部活に入ったらバイトが出来ない…。

「分かった。吉倉さんには今度謝るとして、吉倉さんが学校に来るまでの間、代わりに軽音に入るわ」

俺のせいだ、しかたないよな…。