「だから、何なの?」

無理やりその手を解いた。


「あつ、ゴメン」

いったいこの人は何をしたいのだろう?
あたしには別に、夏輝に話すようなことはない。

ただ、さっき少し意識してしまったのは。

きっと、久しぶりに見て驚いたから。
こんなに近くにいたことに驚いたから。
このファミレスには2回くらい来た事があるけど、夏輝らしい人は見なかったから。
ただ、それだけ。


のはず……。



「ひさしぶりだな」

夏輝が話し出す。


「そうだね」

「7年ぶりくらい?」

「そうだね」

「元気にしてた?」

「それなりに」

「この町に住んでたんだね」

「そうだよ」

夏輝はイロイロ言ってくるけど、あたしはすべてそっけなく返した。