「よし、じゃあ鏡花行こ!」


放課後、菜穂の元気な声とともに学校を出た。



どうやら、今年は空梅雨らしく、6月だというのに雨はほとんど降らない、一応持って出た傘も毎日邪魔になるだけだ。



「時給950円だよ!
やばくなぁい!?」



興奮気味の菜穂の声はいつにも増して、高い。



「採用されるといいけどね」



「そうだよぇ〜」



太陽に照らされたアスファルトから出される熱で汗をかきそうだ。



もう、夏の匂いがする。