あたしは夏輝の胸から顔を上げた。



「ありがとう。
あたし、ずっとずうっと夏輝が好きだった。
会えてよかった。
再会できてよかった。
あたしたちはちょっと間違えたけど。

一生忘れない。
夏輝のことは何があっても忘れないからね。
あたしの、初恋だから。
初めて、心から愛した人だから。
ありがとう」



そう言って、逃げるように外に出た。



マスカラやラインがとれて黒い涙が流れてる事に気付いた。
そしてその事に笑えてきた。

ふふふっ、あははっ。


一人で笑った声に出して。

周りの人はへんな人だと思ったと思う。