「おかえり」
「うん、ただいま」
「で、何??」
「あのね、春輔の弟が鏡花と同じクラスだっていうから、
知ってるかなっと思って」
春輔とは、お姉ちゃんの彼氏の名前だ。
「同じクラスなんだったらたぶん知ってると思うけど、
春輔君の苗字って何だっけ??」
「上月だよ」
「いるよ、上月夏輝くんでしょ!?」
「そう、そう、やっぱり知ってた!!」
「でも、上月君先月転校してきたところだよ」
春輔君とおねえちゃんは、かなり前から付き合っていたはずだ。
「そうなのよ、なんかね家庭の事情がいろいろあるみたいで、
別々に暮らしていたみたいなの、というか春輔が一人暮らししてて、そこに
夏輝君?だっけ??その子が居候しに来てるみたい」
「ふうん、そうなんだ。
で、用件はそれだけ?」
「うん、そうだけど
なに?早く出て行って欲しいの?
そんなにあたしにここにいて欲しくないんだぁ」
少しさびしげな顔でおねえちゃんが言う。