この時は気付かなかった。 あたしがこのとき夏輝にしたことはいつも翔太があたしにしてくれることだってことに…… 夏輝が顔を上げたとき、あたしも偶然顔を上げた。 ふたりの目が合う。 自然に極々自然に、どっちからというわけでもなく、キスをした。 降る雨と同じくらい何度も何度も。