「ごめん」 夏輝が謝る。 「いいよ、もう」 あたしはそういうのが精一杯だった。 あたしには夏輝を責めることはできない。 だってそうでしょ!? 若干小5の男の子一人、先のことを考えられるだけですごいと思う。 今のことで精一杯じゃない!? 過去のことなんて振り返れないでしょ!? 一人でどう生きていくか途方にくれるはず。 「本当にごめんな」 「いいよ。 もう謝らないで」 雨があたしと夏輝をぬらす。