さて、あたしも帰るかな。

バイトの時間中はずしていた指輪を左手の薬指にはめた。

外には雨がぱらついている。


傘を差してファミレスを出ようとしたとき。


「鏡花!」

また、夏輝に呼び止められた。


あぁ、なんだか今はそっとしといて欲しかったのに。


「なぁに?」

でも、無視するわけにもいかないし……


「一人でかえんの?」

「うん、そうだけど」

「送ってくよ」