(越智side)
「面倒くさ・・・・。」
エレベーターへ入り最上階のボタンを押したあと独りため息を交えながら呟いた。
今すぐにでも下ろしたい腕の中にあるダンボールをじっと見た。
今日は、あの娘の荷物を届けなければいけない。
そもそも、この俺様がなぜ届けなければならないんだ?
いつもなら家でゆったり寝てる時間帯だ。
それか、ツレと飯を食ってるか。
なぜだ?
グルグルとした考えで頭がいっぱいになっている中どんどんエレベーターは上へと上がっていく。
優は、俺の甥だ。けど、裕子さんにはなぜか頭が上がらない。
信汰さんは俺の親父の後輩医師。そして一つ年上。
裕子さんには幸せになってもらいたかった。俺の兄もそれを望んでいたしな。
実際、あのまま再婚していなかったら俺も優も沈んだままだった。
けどな、けど。
いきなり渡米はなしだろ。
そして、顔も見たことない娘の荷物を俺はなぜ持っているんだ?