「……息が苦しい」


小学3年生のとき。母の体の具合が悪くなった。


極度の貧血と体調不良で、よく、母は倒れることが多くなったのだ。


いくら病院に行くように勧めても、病院嫌いで怖がりだったから、ずっと拒絶をし続けた。



父が運転する車で、家族3人で出かけてる時だった。


急に息苦しいと訴えたとき。虫の居所が悪かったのか、父は車を急に停めた。



『降りろ』



父は、静かに言った。



『気分が悪いなら、歩いて帰れ』



あたしは、父に文句を言った。車で、病院に連れていけって、泣きながら訴えたのに、父は車のドアを開けると引きずり下ろした。



『自分らで帰れ』



そのまま車は、走り出し、あたしは、知らない町で、知らない人の家に助けを求めに走った。