――玄関。



「さっきから女、女って…女だからって馬鹿にすんじゃねぇ!!」
「っるせぇ!女は女らしく綺麗に着飾ってろ、んで、とっとと帰れ!!」




玄関では杏里と土方の言い争いが悪化していた。



「あー、やってるやってる。よくまぁここまで土方さん相手に言えるな…」
「はっはっはっ!威勢(いせい)のいい嬢ちゃんだ。どんな子だ…」



そろりと壁から覗くと一瞬にして新八は固まった。



「何?八つぁん、どんな子?」



平助も壁から覗きみた。だが、平助も固まった。


「どしたよ、お前等。」
「や、佐之さん見てみ。」


平助に促されて原田も覗く。



「…………。」



無言で三人は顔を引っ込め、そして口を揃えて言った。



「すっげぇ(すっごい)美人!」


なんか後ろの方から三人の視線が痛いんだけど。
まぁいいや。それより…。


ぎゃいのぎゃいの騒いでた杏里は一歩下がり頭をさげた。


「なんの真似だ。」


杏里の改まった態度に土方は警戒心を強めた。



「先程は暴言を浴びせてしまい大変申し訳ありませんでした。
実は、今日都についたばかりで、訳あってこの格好を。」



くそっ、頭下げるなんて腹立つ……!
でも衣食住確保の為…!