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季節は巡って春を迎えた。
私は大学三回生になっていた
ときどきふらっとあの神社へ行く。
私がタイムスリップしたあの神社に。
いつか会えるんじゃないかと心のどこかで期待しながら。
そして今日もあの神社へと足を運ぶ。


「桜、綺麗だなぁ。」


風にのって花びらが舞う。
石段を上り境内の方を見やると誰か座っていた。


「あれは…。まさか―――!」


本当にあいつなのか…?!


確かめたくて境内まで走る。


「そう、じ…?本当に総司なのか?」


くるりと振り返るその人はずっと待っていた大切な彼だった。


「やっと見つけた。あれから忘れたことなんてなかった。」


見慣れた彼の笑みがこぼれる。


「…待ちくたびれたよ…!馬鹿っ…!」


無我夢中で総司のもとへと走り抱きついた。


「いきなり危ないなぁ。少しは女の子らしくなったかと思ってたのに。」
「っ、うるさい…!」


涙がとまらない。
今この時間が夢みたいだ。


「現実、たよね。夢じゃないよね。」


杏里が総司の頬をつねる。


「痛い!痛いっ!。」
「夢じゃない…。」
「だからって何で俺の顔をつねるかな?!」


強くつねりすぎたのか少し涙目になっている。
ふと杏里を見ると、また泣いていた。


「こんなに泣き虫だったけ?」


笑いながら杏里の涙を拭きとる。


「…私も、忘れたことなんてなかった。」
「約束は守ったよ。これからはずっと傍にいてくれるよね?」


まだ流がれる涙また拭きながらもう一度確認する。

「はいっ―――!」