時刻、六ツ半(午後七時頃)なろうとしていた。
会津との約束は五ツ(午後八時頃)。
京都所司代を務めている桑名藩、彦根藩、
淀藩と他の藩からの援軍が来ることになってた。
待っている間にも監察方からの情報は朗報だった。
まず四国屋付近で【桂小五郎】らしき人物を見かけたとのこと。
そして池田屋で不審な男が二人いたとのことだった。
「…本当に来るのか?どうなってんだよ一体!」
中々来ない援軍に永倉がついにキレた。
「落ち着け、新八。約束までにはまだ一時間ある。」
「だけど佐之、普通支度や打あわせすんのに刻限より早めにくるだろうがよ!」
永倉の言うとおりだった。
中々姿を現さない援軍にみんな苛立ちを隠し切れていなかった。
「近藤さん、出ましょう。彼らの援軍を待つ必要はない。」
「姐さんが本気になった…。」
隊士の一人が静かに言った。
「こいつらは、新選組は、そんな気が長い連中じゃないでしょう?」
「…そうだな。南君の言うとおりだ。行こう皆!」
近藤の人声が隊の士気を高めた。
こうして新選組は会津の援軍を待つことなく出動した。