――十番隊組長、原田佐之助。


「あれ、俺の槍どこいった…?」


自分の槍をどこに置いたか忘れている。


「あ、それなら組長、御自分のお部屋に置かれてたんじゃ。」
「あぁ!そうか。ありがとな。」


おーい、記憶力大丈夫か?
原田ってちょっと忘れっぽいんだな。


――三番隊組長、斉藤一。


「斉藤組長ー…?」
「…。」


ボーっとしながら刀の手入れをしていた。


意識あるよな…?


「斎藤君、ぼさっとしながら手入れは危ないぞ。」
「…!あ、あぁ。すまん。」


――一番隊組長、沖田総司。


「ケホッ、ゲホッ。」


一人ポツンと裏庭に佇んでいた。


咳ひどくなってないか…?
顔色も少し悪い…。


「沖田組長!人数確認しときました!」


パタパタと下っ端隊士が知らせに来た。


「…っ!あぁ、ありがとう。」


総司の奴、なんとか隠しきってんだ。
んー。マシなのはここか。


さて、私のとこは―――。


「あーあ。見事にへばってんじゃん。」


杏里の隊は小編成で元々人数が少なかった。


「すいません、姐さん。せっかく稽古つけてもらったのに。」


横になている隊士が申し訳なさそうに言う。


「気にすんな。今はしっかり養生しな。」
「姐さーん。これだけの人数でいけますかね…。」
「まぁなんとかなるんじゃないの?気楽に行こう、な。」


ぽんぽんと肩をたたき励ます。


とは言ったもののやっぱり気楽にはできないよなぁ。