「…てめぇら。今何してるかわかってんだろうなぁ?」
「大体、土方さんは話がなg…ムグッ。」
「あ、ははは。悪ぃ、土方さん。」
原田が沖田の口を塞ぎなだめに入る。
「もういい。埒があかねぇ。話を戻す。」
咳払いを一つして、話に戻った。
「隊分けだが、近藤さんのとこに総司、永倉、藤堂そして杏里。残りは全員俺の隊だ!」
『はいっ』
広間に居たみんなの空気が一瞬にして変わった。
「屯所守護は山南さんに山崎君は伝令役を頼む。今晩のうちに古高を奪還しにくるとは
まず考えないだろうが念のためだ。」
「わかりました。守護は任せてください。」
山南がふわりと笑って答える。
承知しました。と言って山崎は礼儀正しく頭を下げる。
「まず、店が集中してるとこは…。」
杏里にはまったく理解できない京都の地図を出してきた。
「祇園から河原町付近だな。近藤さんたちの隊は鴨川の西側を、俺たちは東側、
四条から三条へ向かって北上する。」
筆と紙を取り出してテキパキと決めていく土方。
近藤は何も言わず土方の作戦を聞いていた。
よほど彼の事を信頼しているのだろう。
土方は幼少のころから人を配置したり動かしたりするのが得意だったらしい。
「じゃぁ各時、七ツ半(午後五時頃)までに祇園の会所に集まれよ。」
途中脱線もあったが、重要な話は数分で終わってしまった。
「隊列組んでくんじゃねーぞ。羽織も着るな。装備はあとで会所に運ばせておく。」
解散してから杏里は各隊の様子を見て回ることにした。
なんか予想はつくんだけどな。
まぁ、一応見るだけ見に行くか。