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前川邸の敷地内にあった蔵が捕まえてきた浪士達の尋問場所となっていた。
尋問と言っても、素直に喋らない者がほとんどだ。
だから、実際は拷問場所だ。
重厚な、頑丈すぎる蔵の扉からは古高の呻き声が聞こえていた。
「いい加減、口を割ったらどうだ?こちとら暇じゃねぇんだ。」
うんざりだという表情をしながら土方は言った。
古高は蔵のニ階から半裸で逆さづりにされていた。
身体は鞭や棒で打たれていたため皮膚は裂け、血まみれになっていた。
「てめぇの名前は?決行手順はどうなんだ?」
土方が問うても無視し続ける。
一方蔵の外。
「山崎さーん。はい、頼まれてたもの。」
蝋燭と五寸釘を持った藤堂がやってきた。
「あぁ、おおきに。気分悪する前に戻り。」
蔵の前で受け取った山崎が苦笑いで藤堂へ言ったそばから呻き声が漏れる。
「あーうん。戻るわ。この声だけで吐きそう。」
げんなりした顔でそそくさと戻っていった。
蔵の中では厳しい拷問が続く。
「副長、頼まれたものを…。」
「あぁ、そこに置いといてくれ。」
山崎は一礼だけして蔵から出て行った。
足の裏には深々と釘が刺さっていた。
流石に土方も疲れが溜まってきたのだろう。
何度も煙管を吹かしてた。
「もう一本釘打って蝋燭突っ込むか。」
次の瞬間古高の悲鳴が蔵の中に響いた。
まさに地獄絵図のようだ。
「さっさと話さねぇと、てめぇが辛いだけだぜ?島田ぁ。」
「はいっ。」
土方に指示され、蔵の中に一緒にいた島田は古高の顔面へと水をぶっかけた。
それから数時間に渡る拷問が続いた。