「ねぇっ、ホントに行っちゃうの?」
私は泣きながら彼にせがむ。
「ごめんね。」
「何で!?行っちゃ嫌だよ!!行かないでよぉッ!!」
私は ただただ泣いた。
彼は困っていた用だった。
でも、そんな事構っていられなかった。
「やだっ、やだよぉ。〇〇!!」
名前を呼んでいるハズなのに自分でも何と言っているのかわからない。
「・・・。またここに戻って来るから。」
しばらくして彼はこたえた。
「ホント・・・?」
私は今まで俯いていた頭を上げ彼に聞いた。
「うん。だから泣かないで?」
「分かった!!じゃあさ!ゆびきり!」
私がそういうと彼は困ったような表情を作った。
「・・・うん。指切り。」
そう言って私達は指切りをした。
「バイバイ!!」
彼はくるりと背を向け歩きだした。
私はただただ 彼の背を見つめ、涙を流すしかなかった。
“また 会おうね”って約束したから また会えるよね?
近くにいたハズなのに顔がハッキリ分からない。
ただ黒髪で優しそうな顔に優しい声。
それしか 分からないんだ。



「・・・夢?」
私は目を開けた。
夢から覚めたのだ。
ふと目をこすると目が濡れていた。
「えっ・・・うそ。」
私は目を こすって涙を拭いた。
それ程 悲しい夢だったって事よね・・・。
私は そう考えた。
そして 学校に出かけた。
「ふぅ~っ」
深呼吸して 大きく一歩を踏み出す。すると 上から声がした。優だった。
「ひよ~!今から学校?」
「うん。そうだけどっ・・・」
そう優の家は私の家の隣だったのだ。
あの記憶の彼が行ったあと この家は何故か売れなかった。
そして 初めて彼の次に優が来た。
もしかして 優が、あの・・・・。
「じゃあ俺も行く!5分で支度するから待っとけ!」
優は そう言うと 窓を閉めて家の中に入っていった。
まさか・・・ね。