そして私の頭をくしゃりと撫でた。
「いいよ。全然。」
そして最後に頭をぽんぽんっと二回軽く叩いた。
私は触られた頭を自分でも触って嬉しくなった。
「ねッ、優!教室まで一緒に行こう?」
私は 軽く笑って優に話かけた。
「べつにい―けど?」
優は そう言ってくるりと背を向け歩きだす。
そして 私も追いかけようとするんだけど・・・背が高くて足も長いから中々追いつけない。
一人で頑張っていると 急に優の歩調はゆるくなり私の隣にきた。
「・・・ありがとう。」
「別に。い―よ!」
優は また笑って答えた。
私は 今日だけで どれだけ優の笑顔を見ただろう。
「何かさ。私・・・優に始めて会った気がしないんだ。」
「え・・・?」
優は一生懸命に首をひねらせ 考えていた。
「いや、私も優の事は始めて知ったんだと思うんだよ? けど・・・なんか優の笑顔を見ると安心するの。だからッ―」
私は 思っている事を全て話し、隣にいる優を見た。
「そッか。じゃあどっかで出会ってんのかもな。」
優は私に優しく笑いかけた。
朝 出会ってから変わらないあなたの笑顔。
その笑顔を見たら私は 幸せな気持ちになる。
「そうかもねッ」
私は優にまた話かけた。
どこに住んでいるのか。
メールアドレスとか。
家族構成。
部活は何をやっていたとか。
互いを知るために 3組までの長い廊下で沢山話あった。




あなたの笑顔で何もかも変えてしまう。
私のいる世界も全て。
同じ時代を歩いている私たち。
“また会おう”と言って 止まってしまった時間。
それが今 動き出した気がした――。