「あみーっ!起きなさいよー!!」

気がつくと、空を見つめたまま頬杖をついていて。私、何してたんだっけ?

「はーい」

それだけ返事をして、制服に着替えた。下へ降りると、お父さんもそろっていていた。お父さんは仕事でなかなかいなくて、会うのは今日、3日ぶりだった。

「おはようあみ。今日から学校か?」
「おはよ。ううん、昨日からだったよ」
「そうか…友達できたか?紗江子ちゃんとは同じクラスだったのか?」
「紗江子とは離れちゃった。でも、友達はできたから大丈夫。心配しないで」
「なら、よかった。勉強頑張れよ」
「…うん」

さみしいなんて思わない。
昔からだったから。
口数が少なくったって、別に気にしないわ。いつものこと。

さっさと朝ごはんを済ませると、また2階にあがって携帯を開いた。もうそろそろ、出る時間だというのに…まだメールがこない。仕方なく、またメールを入れることにした。すぐに返事は来たが、紗江子は時間を見るのを忘れていたらしく今から出る、とのこと。


「お母さん、紗江子今から出るみたい。私も出るね」
「あら、ちょっと遅かったと思ったら…行ってらっしゃい!」
「行ってきまーす」




待ち合わせ場所は、桜のはえていた古いマンションの前。2人の家の中間くらいの位置がここだから、ここになっただけ。だけど、桜を近くで見れることを少しだけ待ち遠しく思った。

待ち合わせ場所に着くとまだ誰もいなくて、紗江子が来る方向に視線を投げると、駆け足で向かってくる紗江子の姿があった。


「おはよ」

先に声をかけてみる。
私の前で足を止めた紗江子は、息を切らしていた。