「…まだ6時じゃん」
今日は珍しく早く起きてしまった。
「んー…」
まだ丸まっている余裕はあったが、寝る気になれず、机に手を伸ばし携帯を手に取った。
紗江子なら、髪の毛のセットで時間がかかるから起きているかも。
件名:おはよ
本文:起きてる?
たまたま早く
起きちゃった。
今何してる??
送信。――お母さんもまだ起きていないだろうし、ちょっとヒマ。しばらくして時間割をしてなかったことに気がつき、用意をする。終わったころに紗江子から返信がきた。
件名:おはよ~^^/
本文:ほんとだ、早いw
あたしは今起きたよ☆
朝ごはん食べるから、
出る頃にまたメール
するね(^∀^)
―――結局ヒマじゃない。
わかった、と返事をし、携帯を閉じる。
カーテンを開けると、雲ひとつない、どこまでも青い空が広がっていた。
「綺麗…」
思わずこぼれた言葉は、虚しく消えていく。朝の静かな風景が、なぜか私を落ち着かせてくれてるような気がした。そして…。
「桜…?もう咲いてるんだぁ……」
窓から見ると右の方に、古いマンションがある。その前にはえている桜の木。うすピンク色をした蕾がほとんどで、数は少ないが、ポツポツ花びらを広げているものもあった。