私ははしに手をつけ、小さくいただきますを言ってお味噌汁の具を口に運んだ。
お母さんも後から椅子に腰をおろし、ふぅ、と一息ついてはしを持ち出した。
「そういえばお父さん、帰って来ないわね…」
などとつぶやきながら、テレビのリモコンのスイッチを入れた。
「残業なんじゃないの?」
朝耳にたまたま入ってきたお父さんのつぶやきを思い出し、ふと口に出す。
あぁ、とでも言いたげな表情でお母さんが頷く。
それからたわいもない話をして、私は食器を片付けた。
2階へ上がると私はため息交じりにベッドに腰かける。
――如月さん…か……。
別に興味はないが、なぜいじめられてるのかが気になる。
そして、なぜ如月さんも安全な道に行かなかったのか…。
少し考えにふけっていると、また携帯の着信音が鳴り、部屋に響いた。
「ちせ…?」
アドレスを見てるとたいがい自分の名前を入れてる人が多いから、なんとなくわかる。
何の工夫もなく『suzumi』と表示されていたアドレスを思い出し、薄笑いを浮かべる私。
ちせからのメールに、またさっきと同じような返事を打ち出す。
送信完了と同時に、私はベッドに仰向けに転がった。