―――北中学に、今日から2年生として生活していく私。
……牧野亜美。

ボーっと桜を眺める私に、柔らかく声をかける友達。
……中宮紗江子。


「あみ!制服似合うじゃない!」
「そんなことないわよ、さえこの方が可愛いって」
「ありがと。でも、あみも可愛いから」
「ふふ、ありがと…」

ザァ…ッと、木が揺れる音とともに、風に髪を持ってかれる。
私たちは一緒に、クラス表を見に行った。

「同じクラスだといいね?」
「そうだね~」

同時に前を向くと、私は先に自分の名前を見つけた。

「私1組だ…」
「え?」
「さえこは?」
「やだ…私…2組……」

一瞬、呆気に取られる。

「うそ…」
「いやー、離れちゃったよぉ~!」
「もー生きていけないぃ~」
「教室隣だし、毎時間会いに行くからねっ??」
「うん!来て来てッ」

半泣きの紗江子は、私の手をしっかり握り、“またね!”と言って走っていった。
同じクラスだとわかっている子のところへ行き、一緒に教室に向かって行った。
私もそれを見届けてから、同じクラスの子を探して、一緒に歩き出した。


教室に着くと、すでに先生が待っている状態で、急いで席に座った。
席は出席番号順で、私の前後の席は、どっちとも男子…。
仲いい子を作るには、都合が悪いな、とか考える。

隣に、さえこのような、ふんわりした女の子がいた。
密かに、この子にしよう、などと思う。
とりあえず後で、話しかけてみよっかな…。

「以上、この後は自由に休み時間にしてOKだ。
 15分後には、体育館に集まっている状態に。
 校長先生の話があるからな」

瞬間、チャイムが鳴って、先生が号令をした後、みんなが一斉にざわつく。
さっきの子に話しかけようと、フッと横を向く。

「ね~、牧野さんだよね??」
「えっ?」

後ろを振り返ると、1年の時から時々というほどしか見なかった顔ぶれが4人、いた。

「あたしらと友達にならない?」
「あっ、うん、よろしくっ…」
「やったぁ~!あたしのコトは、ちせって呼んでね!」
「あたしはもえか。よろしくっ」
「すずみで~すっ、メアド教えて~」
「あ、うん」