私も慌てて教室に戻ると、すぐにもえかと目が合った。

「おはよ、あみ」

大人びた笑顔で私を迎え入れてくれる。ちせとすずみも、それに反応したようで。

「おはよー!」
「あみ!おはよ~っ」

「おはよ、3人とも」

私はにっこりと微笑み返し、チャイムが鳴るまでの数分間を時計で確かめた。


「そういやぁ」

ふと思いついて出た言葉に、3人とも私の顔を見やる。

「私の友達、…さえこって知ってる?クラス離れちゃったんだけど。…さっきトイレで、ゆうちゃんって子と2人でいてね。なんか…聞いたことあるっていうか……引っかかっちゃって…」


考える表情を浮かべる私に、ちせが少し、声を張り上げた。

「その子じゃない?ほら!昨日うちらが言ってた!!」
「…へ?」
「如月ゆう!!」

――――ドクン、


「う、そ…」
「黒髪のロングでしょ!?」
「そういえば…!」

肩を少し通り過ぎたくらいの…。
まさか、紗江子と一緒にいた、あの子だったなんて。

「それに、ずっと下向いてて、全然しゃべろうとしないよねぇ~」
すずみが口を挟む。ずっと聞いていたもえかの口も、動き出した。

「あたし…幼稚園一緒でさ。結構遠足の班とかも一緒だったけど、1回もしゃべったことないよ」

「…そ、そう、なんだ…」