慣れた足取りで門の前まで行くと、2人の先生が立っていた。
「さえこっ」
とっさに呼びかける。
紗江子も、言いたいことがわかったようで。
「ね、すごい頭。ぷっ・・・あれで授業でるのかなぁ」
「そうでしょ。あ~、今日数学2時間目にあるわよ」
クスクス笑う私たちを前に、数学の先生は不思議そうに首を傾げている。――そう、笑いの原因は、散髪したばかりであろう、数学の先生の頭。パンチパーマをあてたみたい。当のご本人は、まったく自分が原因なのをわかってないのだろう。そのまま、笑顔で挨拶。
「おはよう」
あまりのおかしさに、2人して吹き出しそうになってしまった。押さえきれない唇。思わず歯を思い切り出しながら、
「おはよーございます」
と言い、そそくさ校舎へ入っていった。