「誰にも喋らないよ。」


馬場さんは顔を上げた。


「話して楽になれるなら言って。
でも言いたくないなら言わなくていいんだよ。」


馬場さんの震えがおさまっていく。


少し落ち着いたのか、俯かずに言った。


「他の子に言わないで下さいね。」


前にも同じような事を言われた。


明かすのにこんな状態になるんだ。


あたしも心して聞かないといけない。


「あたし…英語苦手じゃないんですよ。」


「え…」


「一応これでも帰国子女ってやつです。」


今度はあたしが、呑み込むのに時間がかかった。