馬場さんが何処を見ているのか、本当に分からなくなった。


そこにいるのは、職員室に来た時と同じ少女ではないように思えた。


どうすればいいだろう。


あたしの焦りとは反して、馬場さんは何もかもが止まってしまったみたいに動かない。


だが次の瞬間、馬場さんはまた俯いた。


俯き肩を震わせた。


あたしは無意識に彼女に近寄り、その震えの止まらぬ肩に触れた。


「あたし…」


馬場さんが言葉を発した。


「…」


「あたし、本当は…」