「ナンくん。どしたん?」


「マサに呼ばれて…」


ナンくんはマサと同じ中学。
ぱっと見はチャラいけど、中身はひ弱ヘタレ。
そのギャップが貯まらんって…誰かが言ってた。


「ナンやったら知ってるしやろ、舞………か?」


「舞葉や!知ってる?舞葉ってどんな子?」


「舞葉って…あぁ。杉上?やっけ………あの子なぁ……一年生の時に…調子のってて…イジメられたみたいで……二年生では、めっちゃ暗かった。三年生になった時は…今みたいな女王様って感じかな。」


「……………で?」


「で?って言われても…マサ。」


「乃々香、ナンをビビらせんなや。」


「いや、そんなつもりない…ごめん。やけど…なんか…おかしない?」


「なにが?」


「一年でイジメられて、二年で暗い。三年で女王様って…すごない?」


「まぁなぁ…」


「…たぶん、二人がおったからちゃう?」


「二人?ってあの金魚のフン?」


「そう…!あの二人がかえたんやと……思う。」


「乃々香、女が金魚のフンとか言うな。」


「あ、ごめん。」


あの二人が舞葉をかえた…
その二人が舞葉を裏切った?
舞葉はショックやんな…うん。


「ナンくん!ありがとう!うち行ってくるわ!」


「どこに?」


「ちょっとね〜」


うちはそれだけをマサにつげて…教室を出ていった。


「アホ…ほんまおせっかいな女や。」


「マサが女の子と一緒におるとか…中学の奴が驚くやろなぁ。」


「そうか?あいつは女ちゃうからなぁ。」


「ん?」


「なんもない。」