・・・流石異国の地、耳に入ってくる会話は全部僕が知らない言葉ばかりだ。

父さんは流石になれているのか、喫茶店のテラス席にゆうゆうと腰掛けてぺらぺらとさっきであったばっかりのおじさんとコーヒーなんて飲みながら話し込んでる、勿論その国の母国語であるイタリア語で。

「腰痛ぇ、」頼んでもらったミルクティーを啜りながら思わず呟いた。


夏休みを利用して、父さんの仕事にでもついていきなさいよ、いいじゃない?外国なんだしさ。なんて母さんがいきなり言い出したから僕は仕方なくここにいるんだけれど、飛行機では座りっぱなしで、飛行機を降りてからも目的の場所に行くのにタクシーに乗り込んだお陰で、冗談ではなく本当に腰が痛い。


「父さん、僕さんぽしてくるからしばらくここに居てね」

そう父さんに告げると、僕は財布と携帯をポケットへ押し込み喫茶店から出た。