もー〜、欒ちゃんてば私の気持ち知ってる癖にいつもこうなんだから。
「って言うか、侑吏君も少しは何か反応してよね!つまんなーい」
突き続けていた指の動きが止まったと思えば、どうやら矛先は私から侑吏に移っていたらしい。
しかし、流石と云うか。
「だから速水…、人前で誤解を生む様な事を言うなよな。んなんだから彼氏の一人二人出来ねぇんだぜ?」
侑吏は欒の攻撃をいとも簡単に交わした上に倍返しすると一足先に校舎へ入っていってしまったのだった。
「チッ。相変わらず嫌味な男だわ、奴は」
「もう欒ちゃんてば」
笑みを漏らしつつも、私達も彼を追う様に校舎へと足を進める。
教室に着けば侑吏は既に席に着き窓の外を眺めている様だった。
彼の斜め後ろ。其処が私の席である故に、鞄を置き椅子に腰掛けるが彼はぴくりとも動かない。
「由?侑吏君じっと見てどうかした?」
「ぇ…、ううん!何でも無いの」
考え込んでいたからか急に声を掛けられた事に驚き、慌てて答える。
「そう?……あ!でも侑吏君って、たまーにああやって考え込んでるよね」
思い出したと言わんばかりに、彼女は口にした。