「きみは…もしかして由里香の娘?」

あたしは無言で頷いた。

男の人は喜びの輝く笑みを

浮かべて、あたしの手を握る

「きみが!会いたかったよ。私は英之(ヒデユキ)という。由里香から聞いてないかい?」

ずいぶん純粋っぽい

人だなあ…。

「いいえ。何も」

「じゃあ… 引っ越しの話は?」

あたしは記憶をたどり、

それらしき答えにたどり着いた

『良い金づるが引っ掛かってね…』


この人が――。