母はだらしなく扉に寄り掛かり

煙草をつけながら言う

「引っ越し。良い金づるが引っ掛かってね」

「引っ越し!?」

そんな…!!

このまちを、出るの!?

やだ。広介や健太と

…会えなくなっちゃう。

「社長の跡継ぎだって。引っ越しの準備しな」

「…あたし、ここに残る」

呆れた母の視線が

あたしに向けられる。