次の日。
私は早速昨日紹介された物件を訪れた。
場所は、人通りの多い住宅密集地の中。
それは、1つだけ
違った雰囲気を醸し出していた。
「写真で見たときもびっくりしましたけど、実物はもっと凄いですね…」
私は思わずアパートの前に立ち尽くした。
一緒に来ていた不動産屋さんのおじいちゃんが満足そうに頷く。
「そうでしょう。
ついこの間空きが出たばかりだったから、お嬢さん、ラッキーだったね」
そのアパートは
アパートと呼べないほど
凝った造りをしていた。
例えるなら外観は、ヨーロッパの街並みに建つお洒落な建物。
レンガの家のような見た目に、私の心は惹き付けられた。
六つある部屋のドアも
それぞれ色やデザインが違っていて
とても可愛い。
「お嬢さんは、二階の真ん中の部屋だよ」
そう言って、おじいちゃんは
一足先にアパートの外階段を上がっていった。