ボトリ。

鳥まんじゅうが私の手から床に落ちる。

でも、ここは努めて冷静に質問を絞り出す。

「今ぁ~……、なんて、おっしゃいましたでしょうか?主任?」

「だから、杉原君が処女って」

「なななななななんでそんなこと、主任が知っとっとですか!!」

「あ~あ、勿体ない。せっかくのご馳走が……」

佐久間主任は屈みこみ、床に落ちた鳥まんじゅうを恨めしそうにペンライトで照らし出す。

「ご馳走のことなんてんどぉでも良かです!それよか何でっ」

佐久間主任は気を取り直したらしく、唯一弁当箱に残っているもう一つの鳥まんじゅうを手で摘まむと、ポイっと口に放り込む。

「君、九州の人だっけ?ふーん……。興奮すると訛るんだ」

「そっ、それも今、関係なかじゃないですか!何で私がしょっ、しょっ、しょ」

「君が言ったんだよ。課長のオゴリの飲み会の時だったかな。『白子が恐くて、処女がやってられるか!』とか何とかって、皆の前でカミングアウトしたんだよ」

さぁーーーっと顔から血の気が引く。

皆の前でって……

「まさか、まさか、その時……」

「みんないたよ。ボントレとディーラーと上役全員」


て、ことは課長も知ってるのぉぉぉぉぉ?



オーノォォォォ!!!